導入事例

多様な院内システムとの連携により感染対策情報を集約。
AST活動や検査室業務の質の向上にも貢献。

施設名
社会医療法人生長会 ベルランド総合病院
所在地
大阪府堺市中区東山500-3
病床数
477床
設立
1982年5月
URL
https://www.seichokai.or.jp/bell/

ベルランド総合病院は、『愛の医療と福祉の実現』を理念に掲げ、がん、救急、周産期を中心に地域の中で高度な急性期医療を実践しております。2007年には堺市で唯一の地域周産期母子医療センターの認定を受け、2013年にはユニセフと世界保健機関(WHO)が展開する「赤ちゃんにやさしい病院(BFH)」の認定を受けております。一方、地域医療支援病院として、地域住民の健康増進・疾病予防を目的とした啓発活動についても積極的に行っています。
今回は感染制御支援システムICT Mateを2023年に導入いただいた経緯や、システムの活用状況ならびに今後のシステムへの期待について、感染管理室の皆様にお伺いしています。

システム導入前の課題と導入のきっかけ

山田様:

システムの導入前は手作業がかなり多かったです。職員の情報や電子カルテの情報もAccess等を使って手作業で入力や抽出作業をしていたので、システム化をしたいという気持ちは何年も前からありました。
特に薬剤師の手作業が多かったので大変そうでした。ASTはものすごく作業がありましたよね?

藤原様:

そうですね。まずはAccessで抽出して、そこから情報を吟味するという流れでした。

山田様:

基になる情報をいれるのも大変で、看護ではバイタル、採血結果の情報などを手作業で入れていました。

山田様:

ICT Mateを詳しく知ったタイミングは環境感染学会の展示ですが、いろいろな病院でICT Mateを利用しているというのを私や他のスタッフも聞いていたので名前は知っており、その後比較検討に入りました。

当社に決めていただいたポイントは何でしょうか?

山田様:

画面の見やすさですね。別システムでも同じような見た目ではあるのですが、ICT Mateは画面がやわらかくて見やすい気がしました。

田中様:

私は患者配置マップの画面がわかりやすいというのが一番でした。

山田様:

あとはバージョンアップのサポートがあるところと、各部門システムとの連携が可能であったところが大きいです。もともと電子カルテの更新の際は、電子カルテの機能を拡充させるのではなくて、看護記録システムや統合診療支援システムなどの部門システムとの連携ができるということを前提に考えていました。

看護支援システムの連携は他施設でもありましたが、実は統合診療支援システムは初めてでした。

山田様:

そうなんですね。さくっとやっていただいたように思いましたが(笑)
電子カルテの情報だけでは不足するので、部門システム連携ができることが決め手になりました。

ありがとうございます。導入に際してご不安などはなかったでしょうか?

山田様:

導入の前に実際の画面を見られるように、デモ機を貸していただきました。
感染管理業務はいろいろな項目がありますが、システムのお話を聞くだけでは具体的なイメージができなかったので、デモ機を貸していただいたことで、これなら業務に直結してすぐ活用できそうだなと感じました。また、「こんなこともできるんだ!」という思うところが多かったですね。
システムの機能面はもちろんですが、導入作業の時から担当SEさんが、丁寧に対応してくださっています。当院側の問題があってできないといった場合もありますが、すぐに断るのではなく、検討のうえでなんらかの回答はもらえるので満足しています。

田中様:

私も無理難題を言っていると思うのですが(笑)
システムで出来ることにも限界はあると思いますが、できないときは他の方法を提案してもらえるのは心強いですね。要望がすぐに実現することもありますし、今後も期待したいです。

システム導入後の業務の変化について

山田様:

環境ラウンドはかなり効率が上がっていますよね。

藤原様:

そうですね。ラウンドをして記録をつけ、写真をアップして報告していますがとても使いやすいです。慣れたら30分ぐらいで記録ができ、すごく良いです。

山田様:

これはシステム導入前にはものすごく時間がかかっていた作業です。当時は紙でラウンドを行っていたので、その紙をためてしまい、報告書を作るまでに何日もかかっていました。
今も紙を持ってラウンドするのは変わらないのですが、結果はすぐにICT Mateの画面で○・×を入力し、写真を登録し、Excel出力した報告書をメールで関連部署に一斉配信しています。取り込んでしまえばすぐに配信できるので、かなり時間短縮になっています。
また前のデータも見られるので、結果が良くなっているかどうかが分かりやすいです。
点数を入れられるのも、スタッフのモチベーションアップにつながっているようです。

田中様:

耐性菌ラウンドでは耐性菌を抽出して、全入院サーベイランス兼週報としてあげています。全入院の項目に関しては医師に感染判定をしていただいて、それを週1回ICTで共有しています。
この作業はいままではExcelで行っていて、技師が検査をしながら新規・継続を個別に抽出して、手入力をしていたのですが、その必要がなくなり期間を設定すれば抽出されるようになりました。

川村様:

投与した抗菌薬や菌によって抽出できるなど、いろいろできるのが良いですね。集計してみたいと思ったときに、以前なら検査室に行って、データを抽出してもらう作業が必要だったのが、今はすぐに自分で出せます。どこかに頼まなくても、各自が自分の権限の範囲内で思いついたときに抽出できて、変化に気づけるのは便利ですね。

ICT Mateのよく使う機能や活用法について

田中様:

患者配置マップ機能は細菌検査にとってはもっとも有用な機能です。今までは検査の情報をドクターやICNなど一部の必要な方に電話で連絡するくらいだったものを、病棟全体に向けて電話連絡せずとも共有できますし、監視終了まで管理し続けられて、全体と連携できるっていうのは非常に助かります。

藤原様:

いろいろな感染症が色分けで出てくるのは今までになかったと思います。薬剤師としては、治療の観点から見て、どの感染症の患者さんがどこにいるのかということや、周囲に感染させないようにはどうすればよいかを考えるうえで、必要な情報がマップで視覚化されているのはすごいことだなと思います。

山田様:

同室者履歴の情報は私もよく使います。ちょうどコロナ禍でシステムを入れているので、患者の移動歴などが見られるのが便利でした。

これは操作説明の前から使っていただいていましたね。

山田様:

そうでしたね(笑)
ベッドマップの打ち合わせはたくさんお話しさせてもらって、トイレやシャワーの位置を皆がわかりやすい表記にしてもらったおかげで、コロナのクラスター発生時にはとても役に立ちました。
「この部屋の人はどの共有トイレを使おうか。専用にしようか」とか「ここからすっと行けるね」と、マップを見ながら検討できるのがとても良かったです。
色分けも接触と飛沫で色が異なるのも良いし、下痢・嘔吐などの情報も表示していただいたので、「同じ色になっていて(感染が)怪しいなあ」など判断がつきやすいです。

田中様:

また、デバイスサーベイランスの観察記録も便利に使っています。今までは各病棟のリンクナースさんや科長さんに挿入情報を患者リストを用いて、手入力で提出してもらっており、感染疑いの情報もリンクナースさんに抽出してもらっていました。しかしどうしても漏れが発生するなどの問題がありました。ICT Mateを使うことでデータが機械的に抽出できて、リンクナースさんの労力も減りましたし、信頼性の高いデータが出せるようになって良かったと思います。感染疑い患者情報の抽出も自分たちのサーベイランスのやり方に応じてカスタマイズできたのが良かったです。

職員感染管理の機能についてはいかがでしょうか。

田中様:

今年度から対象者に使っています。今まではワクチンの項目ごとにAccessがあり使い分けて抽出していたのですが、ICT Mateに集約されました。病院の診療IDも結びつけられ、抗体価情報も電子カルテから一括で取り込めるのも助かります。麻しん等4種生ワクチンだと接種の判定が複雑になるのですが、それがやりやすくなりました。また最新のアップデートで擬陽性の表示機能で色分けされて見やすくなっています。
今後、接種歴を加味するガイドラインに準じた接種者の抽出ができるように機能改善を希望します。

そうですね。今後のアップデートにご期待ください。

石田様:

AST活動については今まで、当院で独自に作成したソフトに、カンファレンスに必要なデータを各職種が協力して入力していました。そのため各職種がデータ入力に多くの時間を費やしていました。ICT Mateでは抗菌薬の投与歴や検査データが一つの画面に表示され、微生物検査結果や画像データも連結しているので、入力に費やされる労力を大きく削減することが出来ました。

今後ICT Mateに望むことについて

山田様:

今後、診療報酬改定で、抗菌薬適正使用の効果をデータで出すという方向にスイッチするなかで、介入した患者様の退院率や入院期間が短縮されたかなどのデータをシステムで出せるといいですね。今後はそういうことをしていきたいと思っています。

南村様:

感染対策に加算がついて、薬剤師を含めてチームでやっていますが、おそらく今後サーベイランスは質を求められるようになっていくのではと思っています。単にサーベイランスに参加しているということだけでなく、アウトカムが大事になってきます。
システムでいろいろな情報を集約し、こういった資料作成の手間を削減できることはもちろん素晴らしいのですが、例えば抗菌薬のガイドラインなどが簡単に見られたりすると、もっと皆が活用するようになり、さらに使い方のアイデアが出てくるのではないかと期待しています。

貴重なお話を頂戴しありがとうございました。

取材日:2023年9月

ご協力:
感染管理室
医師(室長) 南村 弘佳様
医師(ICD) 川村 真代様
感染管理認定看護師 山田 加代子様
感染制御専門薬剤師 石田 茂伸様  薬剤師 藤原 大亮様
臨床検査技師 田中 まこと様 笹谷 純平様

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