導入事例

多数の病棟・職種が連携する大学病院の感染対策情報を
一元管理。
ICT Mateで、迅速な状況把握を実現。

施設名
学校法人北里研究所 北里大学病院
所在地
神奈川県相模原市南区北里1-15-1
病床数
1,135床
設立
1971年4月
URL
https://www.kitasato-u.ac.jp/khp/

学校法人北里研究所 北里大学病院は相模原医療圏における地域医療の要として、特定機能病院、地域がん診療連携拠点病院、地域災害拠点病院などの指定を受けております。また世界に先駆けた最新・新規医療の提供と開拓を目標とされ、数多くの研究に取り組まれております。
感染管理室は2007年4月に設置され、院内の各部門のみならず地域の医療機関とも積極的に連携を取りながら感染制御に関する適切な情報交換を実施されております。
今回は、2025年4月に導入されたICT Mateについて、看護師の工藤師長、臨床検査技師の小貫主任、薬剤師の白津主任にお伺いしています。

導入前の課題とICT Mate選定の決め手

工藤様:

ICT Mateの導入前は、システムは利用していませんでした。2022年に病院機能評価で全患者にサーベイランスの実施が必要となったことをきっかけに、感染制御支援システムの導入を本格的に検討しました。当時の運用としては、電子カルテで接触者の追跡を行っていましたが、操作性が良くなく、データも自動でダウンロードできないなどの問題がありました。そのため、看護師だけではなく事務職の手も借りて、手作業でリストを作成していました。特にコロナ禍では、非常に多くの時間がかかってしまい、とにかく大変でした。コロナ禍が終息し始めた頃に、私は感染管理室に異動となりましたので、業務の効率化によるサーベイランスの効果的・継続的な実施、新興感染症対策を目的に、感染制御支援システムの導入を第一に取り組みました。まずは各社の情報を収集し、6社ほど問合せしました。実際にお話を伺ったのは3社ですね。

ICT Mateに決めていただいたポイントは何でしょうか。

工藤様:

職種ごとに異なる意見もありましたが、私が一番いいなと思ったポイントは視認性です。院内全体で感染対策に取り組むために、導入するシステムは感染管理室だけではなく院内全体で使うと決めていました。ICT Mateは操作性が良く、視認性もシンプルで優しい印象でしたので、医師や看護師と、感染管理室のスタッフが情報を簡単に共有が可能だと思いました。

白津様:

直感的に操作ができるところが一番印象に残っています。あとは、導入後の保守も柔軟に対応してくれると提案いただいたこともポイントでした。

小貫様:

ベッドマップが分かりやすく、どこの病棟で何が起きているかを一目で確認でき、情報を共有しやすいと思いました。

工藤様:

ベッドマップは病棟の配置を忠実に再現してくれているので、とても見やすいですね。そのため、他病棟の看護師が手伝いに来たときも、給湯室やトイレの場所などを一目で把握することができ、患者様の配置を検討することにも役立っています。

ありがとうございます。ご不安なポイントはございましたでしょうか。

工藤様:

各部署でいろいろなシステムがあり、連携方法を調整することが非常に大変でした。アイテック阪急阪神さんは一緒になって調整してくれたので、すごく助かりました。

各部署様との調整は大変でしたね。

工藤様:

システム間の連携は、やはり自分達だけでは難しかったです。事務方との調整はどうしたらよいか、最短で稼働するにはどうしたらよいか、など想像以上に大変でした。私自身が主となってシステムを導入するのは初めてでしたので、こんなに時間がかかるのか、こんなに大変なのかと思っていました。

重症部門、手術部門との連携もポイントでしたね。例えば、抗菌薬使用届は電子カルテからデータを連携するかなど調整が必要でしたね。

工藤様:

そうですね。私が凹まずにプロジェクトを進められたのは、ICT推進センターをはじめとした院内のスタッフが一生懸命助けてくれたこともありますが、アイテック阪急阪神さんの支えがあったからだと思っています。2025年4月に、無事稼働でき、ホッとしました。

導入後の業務や活用法について

工藤様:

感染拡大の防止という点では、管理画面でアウトブレイクを知らせてくれるので初動が早くなり、感染対策の強化につながっていると思います。接触者リストもすぐに作れるので業務が効率的になりましたし、なにより時間外労働が大幅に減りました。

白津様:

重症系部門で特定の抗菌薬で投与している患者様のラウンドを行っています。導入前は、院内で作成したツールを利用してリストを抽出していましたが、エラーが発生したり、集計に時間がかかったりしていました。現在はICT Mateからラウンドの対象リストが抽出できるので、かなり時間が短縮できました。

サーベイランスのデータ収集については、いかがでしょうか。

工藤様:

サーベイランスはすごく楽にはなりましたが、まだシステムに慣れていないところも多くあります。特にSSI(Surgical Site Infection)は、全患者様に広げたいと思っていますが、術式の振り分けがまだなので、これから実施する予定です。リスト作成について、いままでは別部署で抽出してもらったデータを集計して分類することに時間がかかっていました。具体的には、3種類のデバイスで1ヶ月分のデータを作成するのに、2週間程度かかっていましたが、現在はICT Mateでリストが作成できるので、すごく楽になりました。また、感染疑いの患者様の抽出は発熱のみで実施していますが、嘔吐もいれてみようなど、自分たちで考えて、もっと活用しようという意識になってきています。

抗菌薬の適正使用管理については、いかがでしょうか。

白津様:

抗菌薬適正使用支援機能を使っています。いままでは抗菌薬を投与した患者様を2日後に見たい場合、1つのシステムで完結することができず、2つのシステムに同じ情報を入力する必要があったり、片方を見ているときにもう片方がフリーズしたりと大変でした。ICT Mateのコメント機能で次回フォロー日を入力し、フォローアップ患者様をフィルタリングすることで、対象者を抽出するという方法を行っていますね。

資料作成、集計などの帳票機能については、いかがでしょうか。

工藤様:

看護師は、接触者リストと耐性菌ラウンド帳票をよく使っています。検査データは一覧で一行ごとに見ることができ、抗酸菌情報も同時に見られるので役立っています。今後、より一層システムを活用するために、病棟、検査日、患者様名などで絞込み、出力項目が選択できるcsvの出力ができれば、自由度が高く、研究の一助となる使い方もできるのではと思っています。

ありがとうございます。ICT Mateでは、任意の集計用にデータを組み替えて出力することも可能ですので、また相談させてください。

サポート保守はいかがでしょうか。

白津様:

お話を伺った3社中で、一番印象がよかったです。感染制御支援システム以外に微生物検査システムをはじめ、色々なシステムを開発されているので、保守も安心だと考えていました。実際に、導入準備段階ではスムーズな対応でしたし、抗菌薬に関する知識もお持ちでしたので、プロジェクトは進めやすかったと思います。

小貫様:

集計業務に関して色々と要望を出した後、さらにプラスアルファの要望を出した際も、快く受け入れてくれたことがありがたかったですね。

工藤様:

導入にあたり大変お世話になりました。最初にいただいたマニュアルも北里用に抜粋された機能に絞られていたので、読みやすく、「直感で操作がしやすい」につながったと思います。サポート保守については、これはできるのかできないのか、これをサポートの範囲でお願いしていいのか悩みつつも、いつも快く聞いてくださって、スムーズに対応していただいています。サポート保守は完璧ですね!

弊社は、運用の相談も保守の範囲で実施していますので、いつでもお問い合わせください。

ICT Mateに今後期待することについて

小貫様:

データ抽出機能について、患者様の情報も抽出できると、より解析しやすくなると思います。また、アンチバイオグラム機能では、表示内容を自身でカスタマイズできるので、そのカスタマイズ内容をお気に入り登録できるといいですね。

白津様:

アウトブレイクのスクリーニング機能について、病棟別に加えて診療科別にも抽出できるといいですね。あと、感染制御支援システムとして情報が一つに纏まっているので、横断的な情報での定型報告書があればより良いですね。どうしても看護師は看護師/薬剤師は薬剤師/検査技師は検査技師の目線で報告しがちになってしまいますので、この病棟はこういう菌が検出されていて、その菌に対して処方されている抗菌薬の情報や手指衛生の情報が一枚で報告できる文書があると訴えやすいと思います。

ご意見ありがとうございます。またご相談させてください。

今後取り組みたい内容について

白津様:

微生物関連情報が1年分程度しかないので、もう少しデータが溜まれば、ICT Mateから出力した帳票を活用し、何かしらの気づきや関連性を見つけ、研究につなげたいと思っています。

工藤様:

ラウンド結果が溜まれば、例えば手指衛生では、「この病棟のこの対応はこんな効果がある」など、院内のスタッフのモチベーションにつながる報告ができればいいなと思っています。あと、アウトブレイク対応では患者様の履歴を追うので、環境培養した結果が入力でき、ベッドマップ上で「何号室で何月何日に環境培養が出た」という結果からAI的な気づきがもらえるようになるといいなと思っています。特にMRSA(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)はよく環境培養をしますし、頭で考えると何が原因かわからなくなり、なかなか解決策が見つからないこともありますので。
導入して4カ月では、病棟の看護師へ十分にICT Mateの説明ができていないので、現場でも使えるように説明と普及を行っていきます。

小貫様:

「こういった耐性菌が出た」という報告を半期・年度ごとに行っているので、病棟毎の年次推移のように蓄積していければ、この病棟ではこんな傾向があると追えるようになるのではないかと思っています。今後、もっと活用できるように取り組んでいきたいです。

貴重なお話を頂戴しありがとうございました

取材日:2025年7月

ご協力

看護師長 工藤 久美子様
感染管理認定微生物検査技師 小貫 智世様
薬剤師 白津 和慶様

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