ICT Mate開発ストーリー

  • 2006.02

    静岡済生会総合病院で
    微生物検査システムの原型を開発

  • 2007.06

    沼津市立病院で
    微生物検査システム「BCT Mate」の前身となる
    「MELAS-i 微生物」を完成・販売開始

  • 2007.08

    静岡済生会総合病院で
    感染制御支援システム「ICT Mate」の原型を開発
    (デバイス・SSIサーベイランス支援システム)

  • 2011.11

    感染制御支援システム「ICT Mate」を
    開発・販売開始

第1章出会い

とある病院の微生物検査システムが稼働を迎えた。導入プロジェクトは受付が始まる朝の8時から報告がひと段落する昼過ぎまで検査室を見学するところからスタートし、システム仕様・運用方法についてお客様と打ち合わせを重ねた。その内容を基に開発を行い、病院での試験を経て、稼働。検査業務の時間帯は、システムが変わったことで不慣れなお客様の操作フォローを行い、業務が落ち着けば新システムの不具合の洗い出しを行う。
ある日外はすでに暗くなっており、何時まで作業してよいかお客様に確認しようとした時、目にしたのは、検査業務を終えてから時間外で膨大な資料と向き合うお客様の姿。

それが、感染対策業務との出会いだった。

この病院ではBSI、UTIを全病棟対象に実施。SSIについてもかなりの術式をカバーしており、お客様の前には、300枚とも400枚ともあろう紙のワークシートが山積みとなっていた。

第2章決意

この病院では、サーベイランス対象者のワークシートを作り病棟へ配布、そこに日々の観察記録を記録。月末には感染判定を実施、その内容を病棟へフィードバックするという作業を繰り返していた。フィードバック用の資料を作るのに紙と電子カルテの照合を繰り返しており、多くの時間と労力を使っていたが、それでも翌月に持ち越すことがあるほど、膨大な量だった。
本来は感染対策の介入、改善に労力を使いたいのに、あまり使えない現状があった。なんとか注力したい作業に集中できるようにできないものか...。
システムの開発を決意した。

第3章苦悩

開発にあたり、まず社内で感染管理の重要性を説得する必要がある。当時は感染対策で加算が取れる前で、お金を取れないシステムの新規開発に否定的な発言を行う人もいた。感染により入院日数が延長している現実があり、感染をしっかり管理することで、病院にもメリットが出ることを訴え続け、開発にこぎつけた。しかし、システム開発を進めるも今まで触れたことのない業務であり、聞いたことのない言葉も多く理解するのは苦労した。ヒアリングを行い、ホテルに持ち帰って開発。翌日また見ていただいて、感想をいただく。そうしてお客様にも多大な協力を得てようやくシステムが完成した。

システム上でワークシートを作成できるようにし、日々の観察記録は電子カルテより自動収集。なるべく自動収集できるように意識し、開発を進めた。電子カルテに入力枠が設けられている項目でも、入力の運用が徹底されていないものもあり、その場合は、画面から選択してもらうようにした。
月末行っていた感染判定は、感染疑いの条件に一致する人を自動でピックアップすることで、感染判定の対象者を300~400名から20名程度に減らすことができた。また、フィードバック用の資料についてはシステムが作成するようにした。当時はどこのベンダーも実装していなかった感染疑いの機能を組み込んだことでその後の商品力につながった。

第4章束の間の喜び

まず、サーベイランス業務に使う時間が短縮したことに喜んでもらえた。他にも判定基準としていた項目が、従来の紙運用では人によって書き方がバラバラだったが、システム化されたことで一定になったこともよかった。
しかし、サーベイランス業務は感染対策業務の中のほんの一部であり、他も多岐にわたる業務の存在を知る。お客様はサーベイランス業務に使っていた時間をほかの感染対策業務に使うこととなった。
感染対策業務を網羅できるシステムを開発する。新たな開発を決意した。

第5章未来へ

数年後、また違う病院で、患者配置マップ、ラウンド支援、抗菌薬適正支援などの機能を追加し、現在のICT Mateが完成した。患者配置マップではメンテナンスがしやすくて、見やすい画面を意識して開発を進め、お客様の了承が得られるまで何度も確認してもらった。抗菌薬適正使用支援でもまたAUD、DOTといった聞いたことのない言葉を学習しながら、薬剤師の方がかなり時間を掛けて作成していた集計表をワンクリックで作成できるようにした。さらに患者だけでなく、職員も感染のリスクがあることを知り、職員の抗体管理やワクチン接種管理、針刺し等の事故管理を行う機能を他社に先駆けて開発した。
感染対策は病院にとってお金を生むものではなく、販売に苦労したが、2012年に感染対策防止加算が新設されてからは、必要と思っていただける病院の数も増えていき、新たなノウハウも教えていただけた。お客様が増えるごとにICT Mateも成長していくことができた。
2020年、新型コロナウイルスの影響で感染対策を取り巻く環境も大きく変わった。医療体制のひっ迫、医療資材の不足等、医療従事者がよりリスクのある環境に曝されている。
今後は病院ごとではなく、地域ごとで感染状況を捉える機能を充実させることで、地域連携の支援、他施設の比較を行うとともに、厚生労働省が進めるAMR対策を支援できる機能を視野に開発を継続する。

私たちは、ITの技術をもって医療にかかわるすべてのひとの幸福を追求していく。

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